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八ヶ岳の自然に囲まれて山小屋暮らしを楽しむ日々
2017.02購入 大澤さん(仮名)

一年ほど通って見つけた場所
大澤:若い頃、この辺りに初めて遊びに来たときに「いいところだなぁ」と思ったんです。僕は渓流釣りが好きですから、その後何度も来ているうちに物件を探し始めて。釣りをしながら民宿に泊まったりして、あちこち見て回ったんです。
─結構通われたんですか?
大澤:ええ、休みの度に来て一年くらい探してました。それで、この別荘地が売りに出ていると知り、案内してもらったのがちょうど夕方で。ここから見る夕日に照らされた日本アルプスの景色がとても綺麗でね。それでここに決めたんです。
─それですぐにログハウスを建てたんですか?
大澤:いえ、とりあえず土地は手に入れましたけど、仕事が忙しくなって、なかなか手が回らなかったんです。そんな状態が何年も続いたので、一時は諦めて土地を売ろうかと思ったこともあります。
この日はあいにくの曇り空で見えないが、晴れると山々が見渡せるという
下から見上げたログハウス(大澤さん撮影)
冬の幻想的な夕焼け(大澤さん撮影)
晴れた日にベランダから見える夕焼け(大澤さん撮影)
天国みたいなところ?
大澤:どうしようか迷っていた時期に、ここへ来たんです。そしたらたまたま近所のご夫婦が庭仕事をされていて、「このあたりの暮らしって、どうですか?」と話しかけてみたんです。そしたら「天国みたいなところですよ」というんですよ(笑)。
─天国、ですか。
大澤:そう。夏は涼しいし、自然に囲まれて、こんなにいいところはありませんと。実際、その方の庭には渡り蝶の「アサギマダラ」が台湾の方から遥々飛んで来るんですよ。100匹くらい乱舞しているところを見たことがあります。それで、やっぱり建てようと思ったんです。
─実際に暮らしてみて、どうですか?
大澤:本当に素晴らしいところですよ。ここから景色を眺めているとね、春は里から、じわじわ新緑がウグイスと共に上がってくるのが分かるんです。秋には逆に、山の頂きの方から紅葉がゆっくりと下りて来る。大自然に囲まれて、そういう美しい四季の移ろいを感じられるんです。春から夏は、ウグイス、カッコウ、ホトトギスなどの鳴き声の協演曲が聴けます。
アサギマダラ(大澤さん撮影)
こだわったフィンランドのホワイト・パインのログハウス
リビングの隣には広いベランダ
大澤:冬は厳しいですよ。氷点下20℃くらいになりますから。でもね、厳しさの中にも良さがあるんです。スキーやスノーシューが楽しめます。それから、ダイヤモンドダストって聞いたことあるでしょう? 空気中の水蒸気が小さい氷の結晶になってキラキラ舞うんです。しょっちゅう見られるものではないんですが、ひと冬に一度か二度はそんな素晴らしい光景が見られるんです。
─露天風呂がありましたが、湯船に浸かりながら、そんな冬の景色を眺めるんですか?
大澤:いえいえ、冬は露天風呂には入りませんよ。寒いから、閉めてあります(笑)。でも春から秋にかけて露天風呂から眺める御嶽山やアルプスの景色は最高ですよ。
─こちらに定住しているわけではないんですよね?
大澤:国立にマンションがあって以前は夏の間だけこっちに来ていたんですが、この一年はずっと通年でこっちに居ましたね。冬も含めて、春、夏、秋、冬、やっぱりこっちはいいですね。
ベランダの下にはこだわりの露天風呂。
晴れた日には、遠くに御嶽山とアルプスが広がる
時間の使い方
大澤:やることはいっぱいありますよ(笑)。毛鉤を巻いたり、釣りをしたり、ギターを弾いたり、料理を作ったり、物を書いたり。それからたまに山小屋仲間と気楽な麻雀をしたり、男たちで奥さんたちのために料理を作る「男の料理サロン」をやったり。
─多趣味ですね。では、奥様は何をされているんですか?
大澤:読書が好きでね、特にミステリーが。アガサ・クリスティや最近ではケイト・モートンの作品をしょっちゅう読んでますね。ただ、彼女もフライフィッシングは一緒にやりますし、毛鉤を作らせたら私より上手いですよ。八ヶ岳の向こう側の八千穂レイクという湖で夫婦決戦を時々やりますが、僕が負けることが多いです。そんな時、「当り毛鉤は?」と聞いても「ヒ・ミ・ツ」と言って教えてくれません(笑)。
─なんだか楽しそうですね。
大澤:楽しいですよ。季節を五感で感じながら暮らせるのは。アサギマダラが飛んでくるのが楽しみですし、裏のカラマツ林からときどきタヌキが顔を覗かせたりしますし。天国みたいなところと聞きましたけど、本当にそうでしたね。
ギャラリー
毛鉤を製作中
完成した毛鉤がこちら
作った毛鉤の数々。その日の川の状態によって使い分けるとのこと
北海道の阿寒川でレインボートラウトと格闘する大澤さん
同じくレインボートラウトを釣り上げる大澤夫人
見事なレインボートラウトをライディングネットに
ハネムーンで行ったアラスカのトギアック川で釣り上げたキングサーモンのはく製。1m7㎝、19キロ、メス
釣りのほかに料理やギターも楽しむ
冬の夕日と氷柱(大澤さん撮影)
庭に咲くイワシャジン(大澤さん撮影)
釣りをする時にとまったトンボ(大澤さん撮影)
たまに姿を見せるタヌキの親子(大澤さん撮影)
それほど雪深い地域ではないが、たまにはこれくらい積もる(大澤さん撮影)
敷地内の雪にあった鹿の足跡(大澤さん撮影)