LIFE

2021.09.13

#セカンドハウスの経済学

セカンドハウスは資産になるか?①

ひと昔前まで、「別荘」というのは確実にお金持ちの人たちのステータスシンボルであったように思います。
蓼科エリアは夏の間の「避暑地」として多くの別荘が建築されてきた歴史を持ち、戦前より所謂「別荘族」がひと夏を過ごす場所として発展してきました。

高度成長期を経て1980年代のバブル経済に至る間には、全国的なリゾート開発競争の中で数多くの別荘地が造成され別荘建築ラッシュがおこりました。
この頃までは、多くの日本人が土地の価格は永遠に上がるものだと考え、別荘地販売開始時に購入希望者が殺到し抽選会がおこなわれたり、中には投機目的で現地も見ないで購入するといった事例も数多く見られました。

今では隔世の感があります。

1990年代のバブル崩壊とその後のデフレ経済長期化の過程で、別荘地地価の下落とともに建築ラッシュ期に建てられた中古別荘が多く売り出されるようになった頃から、別荘の保有や利用の考え方が変わってきたように思います。

言葉の定義は必ずしも明確ではありませんが、所謂「別荘」という呼び方に代わり、今では「セカンドハウス」という言い方が主流になっています(税制面では「別荘」と「セカンドハウス」は区分されており、「セカンドハウス」は毎月1日以上日常生活のため使用する住居として、専ら保養のために一時を過ごす「別荘」と異なり、固定資産税や不動産取得税の特例が適用されます)。

新たなセカンドハウス購入者のライフスタイルも、やはり従前の「別荘族」とは異なり、かなりアクティブにセカンドハウスを活用するケースが多くなり、夏の期間だけでなく通年利用者が増加しています。

セカンドハウスはもはや富裕層だけのものではなく、その気があれば多くの方に手の届く時代になったと言えるでしょう。
 
そうは言ってもセカンドハウスの購入にそれなりのお金がかかることは事実です。
中古別荘を見回せば、築30年で当時3,000万円はかかったであろう建物が、ほとんど土地代のような値段で売られている事例はいくらでもあります。

不動産業界ではこれまで、「日本の住宅は新築から20年も経過すると建物の価値はゼロ」などとよく言われていましたが、土地の値段が変わらない前提で考えれば、先の例では30年で3,000万円、1年あたり100万円をセカンドハウスのために費やしたこととなります。

自宅の住宅ローンや家賃、子どもの教育資金や老後のための貯蓄を考えれば、セカンドハウスにそのような投資をおこなうことはとてもできない、と多くの方が思われるのは至極当然のことだと思います。
せっかく購入したセカンドハウスが大きな経済的負担となり、人生の楽しみを失ってしまうようでは元も子もありません。

諸外国では住宅(建物)は資産として長い間価値を保ち続けます。
なぜ、日本ではそうならないのか?

本稿では、セカンドハウスを保有することの経済的側面を掘り下げてみたいと思います。

セカンドハウスを資産として活用していく方法や考え方は無いのか?

これが私たちの研究課題です。

私たちの使命の一つは、「セカンドハウスの最大価値を提供する」ことにあると考えています。
多くの皆様にデュアルライフの喜びを味わっていただくために、経済的負担の少ないセカンドハウスの買い方や使い方、ライフプランにおけるセカンドハウスの捉え方などの情報発信を続けられればと思います。