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2023.02.22

#高原別荘地の動物たち - ニホンジカ

別荘地とニホンジカ 〜その2. 別荘地の狩猟事情〜

蓼科区は、ミズナラやシラカバなどの広葉樹林、カラマツやオオシラビソなどの針葉樹林、高標高域の高山植生帯、高層湿原地帯等の自然環境に加え、
宿泊施設、別荘地、ゴルフ場、スキー場、採草放牧地、農地等の人間の生活圏もあり、多様な環境を形成している。
そこには、それぞれの環境に適応した多種多様な鳥獣が生息している。

そんな豊かな自然環境を有する蓼科区は「鳥獣保護区」に指定されている。

鳥獣保護区とは、「鳥獣の保護を図るため必要があると認められる区域に指定するもの(鳥獣保護管理法第28条)」であり、鳥獣保護区内においては原則として狩猟が禁止されている。

しかし、有害捕獲申請を行い許可を得ることで、鳥獣保護区でも有害鳥獣の捕獲を行うことができる。

また、狩猟期間は、毎年11月15日から2月15日までの期間(北海道以外)だが、
有害鳥獣捕獲は、農林業被害や生活被害の防止のために春~秋に捕獲をすることができる。

そもそも、、、11月15日から2月15日までの冬期、蓼科は極寒の地となり、
そんな時期にくくりわなを仕掛けても、トリガーやバネが凍結して動かなくなる(凍結防止を施したくくりわなもあるらしい)。
また、雪の重みでトリガーが落ちて暴発を起こす可能性もある。

そのため、もし蓼科エリアが鳥獣保護区でなくても、
冬期の狩猟期間にくくりわなを仕掛けるのは効果的でないし、
住宅地や別荘地付近では基本的に猟銃は使用できないため、
極寒の地の別荘地付近で狩猟をしようと思えば、春~秋にくくりわなで「有害鳥獣捕獲」を行うのが一般的。

、、、といっても、農耕地があり「生活の場」である集落では、獣害を防ぐために数人猟師がいるケースが多いが、
避暑・リゾート地としての別荘地になかなか猟師はいないものである。

しかし、なんと蓼科高原別荘地には一人猟師が住んでいる。

茅野市猟友会北山支部 副会長によると、1980年頃には茅野市猟友会北山支部には50名以上の猟師が在籍しており、2023年現在は12名の猟師が在籍しているそうだが、
これまで在籍していた猟師全員が地元住民であり、別荘住民が猟友会北山支部に在籍するのは初めてのケースだそうだ。

やはり別荘地に猟師がいるのは大変めずらしいのだろう。
そのため、蓼科高原別荘地内ではその猟師さんはけっこう有名人だ。

その別荘地唯一の猟師、川瀬さんへのインタビュー記事はこちら。狩猟をはじめたきっかけなども書かれています。

その別荘地の唯一の猟師の川瀬さんは、春〜秋にくくりわなによる有害鳥獣捕獲をおこなっている。

ではどこにくくりわなを仕掛けているのだろうか。

川瀬さんによると、
「5年ほど前、他のオーナーさんに頼まれて別荘地内のオーナーさんの庭に5個ほど仕掛けていたのですが、あまりにも残酷だという声があったので堂々と設置するのはやめ、今は1個だけ家の近くの人目につかない藪の中に仕掛けています。」
とのことであった。
反対の声があがる前には、管理事務所からくくりわなを買い与えてもらったこともあったのだという。

2016年7月に発行された「蓼科つうしん」には、
 
オーナー会でも別荘地内での鹿の駆除に協力をしてきました。
この駆除は、生態系保護のために増えすぎた鹿の数を調整することが目的です。
今年も引き続き駆除が行われますので、協力をしていく予定です。

という記述があり、2016年段階ではくくり罠による捕獲には協力的だったことがわかる。

しかし、その後すぐに一部のオーナーから反対の声があがったため、それ以後は敷地内の人目につく場所には仕掛けられなくなったそうだ。


今日における蓼科高原別荘地においての鹿害対策は、捕獲ではなく専らネットをかけることによって寄せ付けない
”守り”の体制である。