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2023.02.24

#高原別荘地の動物たち - ニホンジカ

別荘地とニホンジカ 〜その3.シカを管理捕獲することについてどう思うか〜

前回の記事「別荘地とニホンジカ 〜その2. 別荘地の狩猟事情〜」において、
数年前に有害鳥獣捕獲事業の一環として別荘地内にくくりわなを仕掛けていたが、一部のオーナーから反対の声があがったため、それ以後は敷地内の人目につく場所には仕掛けられなくなったエピソードを紹介した。

前回の記事はこちら

別荘地内でニホンジカを管理捕獲することについて、別荘住民は必ずしも肯定的でないようだ。

では、現在の蓼科高原別荘地の住民の方々は、シカの管理捕獲について実際にどのような意見をもっているのだろうか。

昨年、別荘地での暮らし方や、世代差や滞在頻度の差による価値観の違いなどを明らかにするために、
蓼科高原別荘地のオーナーの方を対象に、アンケート調査を実施した。

そのアンケートの質問項目の一つに、「別荘地内で増えすぎたニホンジカを罠によって管理捕獲すること」について問うものがあった。

アンケートによると、別荘地内で増えすぎたニホンジカを罠によって管理捕獲することに対して62%が賛成であり、31.5%が反対であった(無回答もしくはどちらでもないが6.5%)。

賛成が多数派ではあるが、シカによる甚大な食害を受けているにもかかわらず反対派が多いともいえる。

賛成派の主な理由は、樹木や草花の被害が多すぎることや、天敵がいないために人的に捕獲することはやむを得ないといったものだった。

2004年以前には「山菜祭り」が行われており、その豊かだった植生による恩恵を受けた居住歴の長い人々ほど、本来の植生が目に見えて徐々に減ってきている事実を憂いている人が多かった。

反対派の意見としては、大きく3つに分類できる。
 
 1. 本来シカの生息地を人間が占領しているので、先住民であるシカとは共生すべきだと考えるため
 2. (自分の別荘には)直接的な被害がないため
 3. 動物愛護のため

特に、1の「共生を考えるべきだ」という意見が目立ち、反対理由の記述のあったもののうち59%であった。
共生派の意見を以下に一部抜粋させていただく。

また、「蓼科つうしん」にこのような記述がある。
 
この地に移り住んだ侵入者(我々)は、以前からの居住者(動植物)に対し、
もっと謙虚でなくてはならないでしょう。(1990.7, p.5)


この場所に多くの人間達が入り、人間の倫理で木々を倒し、家を建てました。
彼らは自分たちの居場所が少しずつ減ってきて困っているのではないでしょうか。(2002.6, p.13)

動物達にとっては、また一つ棲息領域を侵されたことになるのかもしれないが、
人間の方でせいぜい気を遣って、動物達との平和な”遭遇”を楽しみたいものである。(2004.7, p.8)
 
以上の文章にみられるような、別荘地開発による自然破壊を憂いて動植物に対して「申し訳なさ」を感じている言説が11件みられた。
シカに対しての共生派の意見も、そのような「申し訳なさ」に通ずるものがあるのではないか。

2022年8月-2022年11月までは、別荘地で出会った方に直接アンケートを取らせていただいた他、管理事務所に設置したアンケートに答えてくださる方もいました。
2022年11月-2022年12月末にかけては、アンケートをオーナー様の自宅へ郵送させていただき、
5ヶ月間で合計137名の方々が回答してくださいました。

実施したアンケートの概要はこちら

この度はアンケート調査にご協力いただき、本当にありがとうございました。
おかげ様で、非常に多くの方々から貴重なご意見を賜ることができました。

今後、アンケートで得られた内容を分析したものを、当ブログにて順次紹介させていただく予定です。
また、貴重なご意見は匿名で一部紹介させていただくことがございます。
何かご意見等ございましたら私の方までご連絡ください。

mail:ohgiri1218☆gmail.com 
   (☆マークを@に変えてください)